薄っぺらな話など読みたくないと中学の頃から田宮虎彦を読んでいた。ネットで格安に古本が手に入るようになり、様々な出来事も去って、落ち着いてきた頃に、NHKの土曜の朝の短編小説の朗読などを頼りにして少しばかり読んでみたのだけれど、はずれが多かった。
作家や文章の良さを読もうという姿勢ではなく、田宮虎彦や永井龍男や梅崎春生や尾崎一雄や林芙美子や太宰治や中勘助や紀田順一郎や中野孝次や串田孫一と似た文章を探していたのだから、見つかりようがなかったのかもしれない。
何度も書いてきたけれど、ある直木賞女性作家に田宮虎彦の陰を見つけてうれしくなって少し読んだけど、ゴールデンボンバーのファンとか知ると白けてしまった。ヤンヨンヒという映画監督も虎彦の陰だったのだろう。
又吉という作家が中村という作家と対談している中で、「中村氏が又吉氏が普通ではない量の本を読んでいることが分かる。又吉氏から出てくるものがその海を通して出てくるのが分かる。」それは、「惑星ソラリス」の海なのだろうと思った。