宮城まり子さんの開いた、ねむの木学園という肢体不自由児のための学校が静岡県の掛川市の山中にある。その施設内の『ねむの木美術館』に片道2時間かけて、無料の23号線バイパスやらを伝って、毎年行くのです。
ねむの木こども美術館 | ねむの木学園 (nemunoki.or.jp)
この2~3年はコロナの具合で、喫茶店がやってなかったり、一番上の美術館が改装中だったりしたのが、今年は、4月に上の美術館が開館し、喫茶店も開いていた。
ほんめさんや、こばやしさんや、やましたさんの名前をよく見る。
子供の絵は、大人にない自由さが楽しい。NHKの教育では、『no art,no life』という15分番組を毎週やっていて、いろいろな絵や造形を紹介している。
ある人は、知的障がい者や精神的なダメージのある人の表現する物を、安易によいなどと思うのはどうかと思う、その人の生活を支えることも含めて、丸ごとを見ないと…と言う。私は、表現された物の抜きん出た凄さに参ってしまう。無責任に参ってしまうのだな。
だが、もっと有名な作家の作品を語る時、語る者は、その作家の生活の一切を含めて語らない。その健常者に劣る厄介さに焦点を当てて、だから全体として駄目だなんて見方、普通からはみ出る所があれば、すかさず潰しにかかる見方をする人は、微塵の粗もない、さぞかし立派な精神を肉体をお持ちなのだろう。
太宰治の小説に出てくる人物の欠点をも、まるごと抱きしめる喫茶店のマダムの言葉が記憶にある。
「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした」