長門銭広永様は難しい銭

もう当たり前だが、自民党は国民を幸せなど全く気にしていない。

眠れなくなって仕方なく書く

家内に熟睡を起こされて、テレビ番組の録画ができる状態かを確認したら、眠れなくなった。耳鳴りが意識されてしまってどうしようもない。

どういう訳か25年ほど前に亡くなった友人Kの事を思い出した。悪性リンパ腫だった。名古屋大学附属病院の血液内科の医師にセカンドオピニョンを聞きに、彼を乗せて車で走ったり、闘病中の彼を見舞ったりしたことだ。目の表面が白濁したり、唇がかさついてひび割れていたりと、確かに病気が進んでいることが分かった。彼は衰えていく姿を私に見られたくないようだったので、それを最後にした。

死の連絡をもらって、葬式から帰って、どうしようもなく、その頃のネットの掲示板に、詩を載せて弔った。船出という詩だ。

 

   たとえば医師のリブシー先生

 郷士のトレリーニさん スモレット船長

 立派な人はほらこんなにいたのに

 どうしてぼくたち あの無頼漢たち

 海賊のほうにあこがれたのだろう

 頬に刀傷 タールまみれの髪を肩までたらし

 ベンボー提督亭でラム酒びたりのビリー

 (おい小僧 おれをその男のところへつれてゆけ

 さもないと腕をへし折るぞ)と言った盲目のピュー

 そしてヒスパニオラ号の料理番

 いまも生きているにちがいないジョン・シルバー

 捕まれば処刑場に高く吊されるかれらに

 ぼくも従兄弟もあこがれて

 海賊になろうねと誓ったのだったが

 もう何年になるだろう

 病院のペットで眼を見開いたままの従兄弟に

 ぼくはささやいた

 ぼくたち海賊にもならず

 妻を娶り 家庭を作り 働いたね

 高く吊るされることはなかったけれど

 いつのまにかぼろぼろになっちゃった

 じゃ ひとあし先に

 船出するんだ 船長

 月も明るく

 海は静かだよ

 辻征夫 『船出』 )

 

しばらくして、ネットの履歴からたどり着いたのだろう、彼の奥さんが、その掲示板にお礼の書き込みをされた。

小さなポケットサイズの詩集の頁を繰って供養しよう。耳鳴りも鳴き止んで、安らかに眠れそうだ。

と記して終わりたいのだが、私の頭の中では、いつも小さなアブラゼミが鳴いている。蓑虫のちちよ、ちちよとか、鈴虫のリール、リールならよかったのにね。

上海帰りのリル ♪津村謙 - YouTube