長門銭広永様は難しい銭

もう当たり前だが、自民党は国民を幸せなど全く気にしていない。

次回は瞬殺予定。

今日回答した濃度の問題を記録として載せる。


【問題】 
Aの容器にはx%の食塩水が100g Bの容器にはy%の食塩水が100g入っている。
これらA,Bの食塩水について次のような操作をする。
①まずAから食塩水20g を取りだしBに移しよくかき混ぜる。
②次に Bから 食塩水20gを取りだしAに移しよくかき混ぜる。
この①,②の操作を合わせて1回の操作とする。
この時 次の問いに答えなさい。
(1)この操作を3回繰り返して後のAに入っている食塩水の濃度をx,yを用いて表しなさい。
質問
1,答えの(2)の c+d=a+b=x+yになぜなるのかが分かりません。
加えてその下のc-d=2/3(a-b)=2/3×2/3(x-y)も分かりません。
説明お願いします。

【最短の解答】

AからBへの20gの移動は100gの1/5で、BからAへの20gの移動は、120gの1/6だから、

(容器A内の食塩の重さ)+(容器B内の食塩の重さ)
=x+y
={(4/5)x}+{(1/5)x+y}
=[{(4/5)x+(1/6){(1/5)x+y}]+[{(5/6){(1/5)x+y)]
={(5/6)x+(1/6)y}+{(1/6)x+(5/6)y}
以上のように1回の操作で、それぞれの1/6が交換されることが分かった。

 

1/6が交換される3回の操作で、容器Aの濃度A[3]は、

A[3]

={(1-1/6)^3+3(1-1/6)(1/6)^2}x+{3(1-1/6)^2(1/6)+(1/6)^3}y

={(5/6)^3+3(5/6)(1/6)^2}x+{3(5/6)^2(1/6)+(1/6)^3}y

={(125+15)/216}x+{(75+1)/216}y

=(140/216)x+(76/216)y

=(35/54)x+(19/54)y

となる。ちなみに、

={(27+8)/54}x+{(27-8)/54}y

=(1/2)(x+y)+(8/54)(x-y)

=(1/2)(x+y)+(1/2)(2/3)^3(x-y)

 

【回答】
(容器Aの濃度)+(容器Bの濃度)
=(x)+(y)
=(4/5)x+{(1/5)x+y}
=[{(4/5)x+(1/6){(1/5)x+y}]+[{(5/6){(1/5)x+y)]
={(5/6)x+(1/6)y}+{(1/6)x+(5/6)y}
以上のように1回の操作で、それぞれの1/6が交換されます。
ですから、
2回目の操作後は、(A+B={(5/6)★+(1/6)☆}+{(1/6)★+(5/6)☆}の形になる)
=[(5/6){(5/6)x+(1/6)y}+(1/6){(1/6)x+(5/6)y}]+[(1/6){(5/6)x+(1/6)y}+(5/6){(1/6)x+(5/6)y}]
3回目の操作をすると、分母が216になり、表記が長くなるので、
x=216a,y=216bとします。
x+y
=216a+216b
=(180a+36b)+(36a+180b)…1回目終了後の濃度
={(150a+30b)+(6a+30b)}+{30a+6b)+(30a+150b)}
=(156a+60b)+(60a+156b)…2回目終了後の濃度
={(130a+50b)+(10a+26b)}+{26a+10b)+(50a+130b)}
=(140a+76b)+(76a+140b)…3回目終了後の濃度
ここで、a=x/216,b=y/216を代入して、x%y%の表記に戻すと、
={(140/216)x+(76/216)y}+{(76/216)x+(140/216)y)
約分して、
={(35/54)x+(19/54)y}+{(19/54)x+(35/54)y}

容器Aの濃度は、(35/54)x+(19/54)y 

(回答終了)

【解説のようなもの】
さて、
x-y>0とします。(そうでなくてもいいのですが)
c+d=a+b=x+y
c-d=2/3(a-b)=2/3×2/3(x-y)
について。

まず、
c+d=a+b=x+y
は、「濃度の和は一定」を示しています。
例えば、x=12%,y=6%とすると、
31/3%+23/3%=11%+7%=12%+6%
ということです。
(実は濃度の加減は無意味です。濃度は、濃縮と希釈と混合でしか変化しません。それはともかく)
c-d=(2/3)(a-b)=(2/3)(2/3)(x-y)
は、
(31/3)-(23/3)=(2/3)×(11-7)=(2/3)×(2/3)×(12-6)
(8/3)=(2/3)×(4)=(2/3)×(2/3)×(6)
です。

問題集の解答を書いた人は、
1回の操作によって、濃度差が2/3になるということを示したかったのです。
だから最終的には
平均の濃度より、3回目の濃度差の1/2だけ、xに近い濃度がAの濃度です。
A、Bの濃度は、平均濃度(x+y)/2へ、両側から、1/3ずつ近づくという変化のイメージがないと理解は困難です。


この解答の結末は、いかにも数学っぽいものですね。
3回操作後の濃度差は、

e-f=★
e+f=☆
だから、
e=(1/2)(★+☆)
という流れは、中2の連立方程式です。


私の考えていた結末は、
容器Aの濃度
=平均濃度+濃度差の(1/2)
=(x+y)/2+(1/2)(2/3)(2/3)(2/3)(x-y)
=(1/2)(x+y)+(4/27)(x-y)
=(1/2+4/27)x+(1/2-4/27)y
=(27/54+8/54)x+(27/54-8/54)y
=(35/54)x+(19/54)y
でした。


実はn回操作後の容器A,Bの濃度をA[n],B[n]とすると、
A[n]=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)(2/3)^n
B[n]=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)(2/3)^n
です。
n=0、(操作前です)
A[0]
=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)(2/3)^0
=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)
=x
B[0]
=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)(2/3)^0
=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)
=y
です。
n=1
A[1]
=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)(2/3)^1
=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)(2/3)
=(1/2+1/3)x+(1/2-1/3)y
=(5/6)x+(1/6)y
B[1]
=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)(2/3)^1
=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)(2/3)
=(1/2-1/3)x+(1/2+1/3)y
=(1/6)x+(5/6)y
A[1]-B[1]
=(5/6-1/6)x+(1/6-5/6)y
=(2/3)(x-y)
です。
n=2
A[2]
=(1/2)(x+y)+(x-y)(2/3)^2
=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)(4/9)
=(1/2+2/9)x+(1/2-2/9)y
=(13/18)x+(5/18)y
B[2]
=(1/2)(x+y)-(x-y)(2/3)^2
=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)(4/9)
=(1/2-2/9)x+(1/2+2/9)y
=(5/18)x+(13/18)y
A[2]-B[2]
=(13/18-5/18)x+(5/18-13/18)y
=(4/9)(x-y)
=(2/3)(2/3)(x-y)
これを(2/3)^2×(x-y)とよく表記します。
n=3
A[3]
=(1/2)(x+y)+(x-y)(2/3)^3
=(1/2)(x+y)+(1/2)(x-y)(8/27)
=(1/2+4/27)x+(1/2-4/27)y
=(35/54)x+(19/54)y
B[3]
=(1/2)(x+y)-(x-y)(2/3)^3
=(1/2)(x+y)-(1/2)(x-y)(8/27)
=(1/2-4/27)x+(1/2+4/27)y
=(19/54)x+(35/54)y
A[3]-B[3]
=(35/54-19/54)x+(19/54-35/54)y
=(16/54)(x-y)
=(8/27)(x-y)
=(2/3)^3×(x-y)
です。
一般に、
A[n]-B[n]=(2/3)^n×(x-y)
ですね。


今までを復習すると、
操作を1回すると、濃度差が、2/3になります。
ですから3回すると、濃度差が、8/27になります。
ですから、最初の濃度を27%,0%とおくと、
(27%,0%)→(22.5%,4.5%)→(19.5%,7.5%)→(17.5%,9.5%)
濃度差27%→濃度差18%→濃度差12%→濃度差8%
という変化の仕方です。
始め、27-13.5=13.5だった濃度差が、
操作1回後は、22.5-13.5=9=13.5×(2/3)
操作2回後は、19.5-13.5=6=9×(2/3)=13.5×(4/9)
操作3回後は、17.5-13.5=4=6×(2/3)=9×(4/9)=13.5×(8/27)
です。


もう少し一般化してみます。
x%,y%を(1-r):rで混ぜると、
x+y
={(1-r)x+ry}…1回後のAの濃度
+{rx+(1-r)y}…1回後のBの濃度
=[(1-r){(1-r)x+ry}+r{rx+(1-r)y}]
+[r{(1-r)x+ry}+(1-r){rx+(1-r)y}]
=[(1-r)^2x+(1-r)ry+r^2x+(1-r)ry]
+[(1-r)rx+r^2y+(1-r)rx+(1-r)^2y]
=[{(1-r)^2+r^2}x+2(1-r)ry]…2回後のAの濃度
+[2(1-r)rx+{r^2+(1-r)^2}y]…2回後のBの濃度
=(1-r)[{(1-r)^2+r^2}x+2(1-r)ry]
+r[2(1-r)rx+{r^2+(1-r)^2}y]…3回後のAの濃度
+r[{(1-r)^2+r^2}x+2(1-r)ry]
+(1-r)[2(1-r)rx+{r^2+(1-r)^2}y]…3回後のBの濃度
=[{(1-r)^3+(1-r)r^2}x+2(1-r)^2ry]
+[2(1-r)r^2x+{r^3+(1-r)^2r}y]…3回後のAの濃度
+[{(1-r)^2r+r^3}x+2(1-r)r^2y]
+[2(1-r)^2rx+{(1-r)r^2+(1-r)^3}y]…3回後のBの濃度
=[{(1-r)^3+3(1-r)r^2}x+{r^3+3(1-r)^2r}y]…3回後のAの濃度
+[{3(1-r)^2r+r^3}x+{3(1-r)r^2+(1-r)^3}y]…3回後のBの濃度
こういう計算の方が応用しやすいですね。
{(1-r)^3+3(1-r)r^2}x+{r^3+3(1-r)^2r}y…3回後のAの濃度
これに r=1/6を代入すると
=[{(1-1/6)^3+3(1-1/6)(1/6)^2}x+{(1/6)^3+3(1-1/6)^2(1/6)}y]
=[{(5/6)^3+3(5/6)(1/6)^2}x+{(1/6)^3+3(5/6)^2(1/6)}y]
={(125/216)+(15/216)}x+{(1/216)+(75/216)}y
=(140/216)x+(76/216)y
=(35/54)x+(19/54)y
さて
{(1-r)+r}^3
=(1-r)^3 + 3(1-r)^2r + 3(1-r)r^2 + r^3
を使うと
3回目後のAの濃度は
{(1-r)+r}^3を展開したときの
(1項目+3項目)x+(2項目+4項目)y
3回目後のBの濃度は
{(1-r)+r}^3を展開したときの
(2項目+4項目)x+(1項目+3項目)y
となっている。
これを使うと 順番に計算しなくても
4回目のBの濃度は
{(1-r)+r}^4を展開した
(2項目+4項目)x+(1項目+3項目+5項目)yだから
={4(1-r)^3+4(1-r)}x
+{(1-r)^4+6(1-r)^2r^2+r^4}y
={4(5/6)^3+4(5/6)x
+{(5/6)^4+6(5/6)^2(1/6)^2+(1/6)^4}y
=(520/1296)x+(776/1296)y
=(65/162)x+(97/162)y
=(1/2-16/81)x+(1/2+16/81)y
=(1/2)(x+y)-(16/81)(x-y)
=(1/2)(x+y)-(1/2)(32/81)(x-y)
=(1/2)(x+y)-(1/2)(2/3)^4(x-y)
となり、4回後の濃度B[4]の式の通り。
{(1-r)+r}^nを使うと、
どんな割合rで、n回混ぜても、
すぐに式が作れて便利(?)です。
今度、同じような問題が出たら、瞬殺なんだけどなあ。
何年か出ないから、忘れてしまうのだな。