私の小学校時代の友人、A子さんから先日、メールが届きました。
母親がコロナ陽性になった友人からのメールには……
別の家で一人暮らしをしている母親が、新型コロナウイルス陽性になった、と言います。A子さんは前日夜に母親と食事をしていたので、「わたしもPCR検査してきます」と書いてありました。
うんうん、それは心配だろうな……。
……えっ?
メールを読み進めた私は、次の文に驚きました。
「これからイベルメクチンを飲みます」
私はすぐに返信しました。
「え~? イベルメクチンは、まじに効果がないってエビデンスがたくさん出てるよ」
(注・この場合の「エビデンス」とは、臨床研究で立証された科学的根拠のこと)
でも彼女からは、「でも、不安だから一応飲む」と返信が来たのです。
疥癬などの治療薬、当初はコロナへの有効性が期待されたが……
イベルメクチンは、寄生虫をやっつける抗寄生虫薬。日本の大村智・北里大特別栄誉教授が1970年代、ゴルフ場近くの土壌で採取した菌がもとになり、米製薬企業とともに開発に成功しました。当初は家畜の線虫駆除に使われていましたが、人間の熱帯病「オンコセルカ症」に効果を発揮することが分かり、アフリカや中南米の多くの人たちを失明から救いました。今も世界で年間4億人以上が飲み薬として使っているそうです。大村さんはこうした功績が認められ、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
国内では現在、「ストロメクトール」の名前で、「腸管
このように、イベルメクチン自体は素晴らしい薬です。そして、試験管での研究段階では、どうやら新型コロナウイルスの増殖を抑える効果があるらしい。この薬が、もし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に効果があるのなら、とても素晴らしいことであり、同じ日本人としてどんなに誇らしいことか、と、私も最初は期待していました。
海外からは、イベルメクチンのコロナへの有効性を示す研究論文がいくつか発表されましたが、専門家のチェック(査読)が行われていないものが多く、のちにデータ
「未承認」「推奨できない」「強く反対」…製造元メルクも有効性認めず
そして昨年3月以降、欧米の政府機関や世界保健機関(WHO)などが相次いで、勧告や見解を発表しました。ポイントを紹介しましょう。
▽米国食品医薬品局(FDA)
「FDAは、ヒトまたは動物のCOVID-19の予防または治療にイベルメクチンを使用することを承認していません」
「現在入手可能なデータは、イベルメクチンがCOVID-19に対して有効であることを示していません」
▽欧州医薬品庁(EMA)
「EMAは、COVID-19の予防または治療のためのイベルメクチンの使用は、現在、臨床試験以外では推奨できないと結論づけました」
▽世界保健機関(WHO)
「イベルメクチンが COVID-19患者の死亡率、人工呼吸器の必要性、入院の必要性、および臨床的改善までの時間を短縮するかどうかに関する証拠は、利用可能な試験データの規模が小さく、方法論的な制限があるため、『確実性が非常に低い』と判断しました」
「より多くのデータが利用可能になるまで、WHOはこの薬を臨床試験でのみ使用することを推奨しています」
▽米国医師会(AMA)
「米国医師会、米国薬剤師会、および米国医療システム薬剤師協会は、COVID-19を予防または治療するためのイベルメクチンの注文、処方、調剤に強く反対しています」
そして、イベルメクチンのメーカーであるメルク社自身も昨年2月、「臨床研究からのCOVID-19に対する潜在的な治療効果の科学的根拠はありません」「COVID-19疾患の患者における臨床活動または臨床的有効性に関する意味のある証拠はありません」などとする声明を発表したのです。
「治療効果がない」と言ってもいい段階
さらに、です。今年に入って、イベルメクチンのCOVID-19への治療効果を否定する海外の研究論文が、相次いで発表されました。
2月に発表された研究では、高リスク患者490人を、イベルメクチンを5日間服用する群と標準治療のみ(対症療法)の群に分けて観察した結果、イベルメクチンが重篤な病気を発症するリスクを低下させることはできませんでした。
3月に発表された研究では、発症7日以内の重症化リスクのある患者1358人を対象にイベルメクチンか偽薬を投与し、効果を比較しました。入院や救急医療を必要とした人はイベルメクチンを飲んだ人の14.7%、偽薬では16.3%で、薬の効果を示す差はみられませんでした。
8月発表の研究では、1323人の患者を、イベルメクチン、メトホルミン、フルボキサミンという3種類の薬と偽薬を投与する複数のグループ分けを行って実施した結果、いずれの薬も、新型コロナウイルス感染症に関連する低酸素血症、救急外来受診、入院、死亡の発生を防げませんでした。
いずれも信頼性の高い研究で、3月と8月の研究が発表されたのは、世界で最も権威ある米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」です。
ここまでデータがそろってくると、イベルメクチンの新型コロナへの治療効果は、 「有効性はあるかもしれないが、まだ立証されていない」のではなく、「有効性がないと言ってもいい段階になった」 と考えるしかありません。
ツイッターに並ぶのは「一個人の体験談」ばかり
さて、話を友人のA子さんに戻します。
彼女は1年ほど前に、ある医師がテレビ番組で「イベルメクチンはコロナに効く」と話しているのを見て、いざという時のために個人輸入業者のサイトから即、購入し、保管していたそうです。そして今回、ついに服用したわけです。改めて理由をメールで尋ねると、「ツイッターでは、効いてるってツイートがけっこうあるから」。
そこで、私もツイッターを「イベルメクチン」で検索してみると……。
そこには、自分や家族がイベルメクチンを飲んだら、どんどんコロナの症状が軽くなった――といった〈一個人の体験談〉ばかり。これは、私が2年以上前に読売新聞本紙やこのコラムで書いた 「3た論法」 以外の何物でもありません。( 2020年6月23日のコラム「医師が使う『科学的根拠(エビデンス)』とは」 をご覧ください)
つまり、<薬を服用し た →病気が治っ た →薬が効い た >と考えるのは、<雨乞いし た →雨が降っ た →雨乞いが効い た >と同じ論理展開なのです。薬を飲まなくても、自然に治ったかもしれない。風邪に対する抗生物質と同じ。だからこそ、多くの患者を集めて、本物の薬と偽薬を投与するグループに分け、その効果に統計学的に意味のある差が出るかどうかを検証する、大規模な臨床試験を実施するわけです。それが現代の科学というものです。
ツイッターにはほかにも、イベルメクチンを推奨する怪しげな国内外の医師や学者の動画や、データの意味を(わざと? 本当に?)取り違えてイベルメクチンの効果を訴える誤情報などが次から次に現れます。
とこんな記事が、ヤフーで2023年1月8日に流れた。
この編集委員 山口博弥氏の記事の問題点は、
①権威あると思われている団体のいう事は正しい、と書いている点(へそ茶、噴飯物)
(ミルの自由論の最初の20ページを読んでご覧よ)
②「3た論法」 は、論法でも何でもない。(誰が考え出したごまかしかな)
原因と結果の因果関係は、統計上の危険率、相関係数という表現でしか表せない。
③イベルメクチンが有害なら、飲まないで…だろうが、「副作用は少ない」どころか「ほぼない」のだから、飲んでも構わないだろう。
④主治医でもないのに、他人の判断を制限する権限があるのか。
⑤本当の医者が現場で使って効果をあげていることを書かない。
⑥最後に、「効果がない」から「飲まないで」は、おかしい。最初の数行で破綻しているのだから、逃げ道を残しているのが悪賢いですね。
効果が怪しいばかりか、副作用が顕著なワクチンを打たないで…、というのなら素晴らしいが、それが書けないのが現実だ。怖くて書けないのだろう。不味いことを書くと殺されるのが常です。
ワクチンは、
数日以内の死亡が2000例以上。(実際はきっと桁違いだろう)
8~10週後の死亡(推定)が数万人以上。(人口動態調査から)
接種回数が多いほど、感染しやすく、副作用も強い浜松市のデータが示された。
コロナ死や特効薬は、
本当のコロナ死は、ほとんど0に近い。(0.12%=約800人に1人だそうだ)
何の0.12%かは忘れた。65歳以上の発熱感染者の0.12%かな?
65歳以上でないと、特効薬は処方されないようだ。
まあ、いいか。ここをご覧の方は、耳だこでしょう。
読売新聞の編集委員 山口博弥の名前が出てきたら、なんでも平気で書く人という事で。
試験管内(in vitro)で効果があるというのは、アメリカの2020年4月以前のお話です。(笑)
インドやペルーでは、in vivoですよ~。くどいか。(笑)